ベートーベン弾きを中心に

ピアニストへの個人的評価


ピアニスト

主にベートーベン弾きを演奏面から評価したものを書き連ねます。お勧めしたい録音などがあれば少しその情報も書いておこうと思います。たいていのものは私が所持していたものによる評価ですが、なかには友人から借りたもの・地元の図書館で借りたもの、も含まれています。よって、手元に現在ないものによっているものも多数あり、必ずしも正確だと言い張れない部分は含んでいます。その点はご了承ください。
HMVとかアマゾンのページにリンク勝手に貼り付けたりしてますが彼らの回し者じゃないので・・一応。労力の問題上なので許してください_n○|||


ヴィルヘルム・バックハウス
ドイツ 1884〜1969

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」の名盤を残したことが最大の功績だと思われる。皇帝が聴かれつづける限り世に残る演奏。一言で言うなら「大きい」。ついそう口に出したくなるような演奏だった。一方、ピアノソナタは個人的には評価していない。いわゆる3大ソナタのCDを買ったときは皇帝の演奏からは想像もできないほど貧弱な内容で、長い間他人の演奏をそう偽って販売してるのだと思っていたくらいだ。これはたまたま完成度があまりにも高すぎる他の録音に事前に親しんでいたからなのだが、そんなこともあってさほどソナタは聴かなくなった。

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
指揮者はハンス・シュミット・イッセルシュテット、オーケストラはウィーンフィル。オーケストラは特別なものでもないのだが、あのピアノの演奏を引き出し、それと調和して金字塔を打ち立てたことを考えれば十分に評価していいと思う。入手も比較的簡単で、1000円あれば買える。ただ録音が少し悪いのか、ノイズののっているものも見受けられるので高音質なサウンド環境だと逆にがっくりするかもしれない。
私が持ってる録音のひとつちょっと音が悪いのが残念。

ヴィルヘルム・ケンプ
ドイツ 1895〜1991

癖があるわけではなく、それでいて実に独特の演奏をする。ピアノソナタでは味のある演奏とでもいうか、緩やかなテンポでの表情豊かな演奏が目立つ。一方ピアノ協奏曲皇帝などではバックハウスに近い解釈の演奏をしている。こちらもなかなかの名演だと思う。全般について述べると、いわゆるテクニックは名の知られているピアニストの中では少々厳しいと言わざるを得ない。しかし、その音楽性・表現におけるテクニックは単純な技巧面の不利を補って余りあると言えるだろう。

ピアノソナタ17番 テンペスト
初めて聴いたテンペストの演奏。第三楽章がすばらしい。一般にテンペストはかなりテンポの速い演奏が好まれるのだが、それらに比べると相当ゆったりとしている。これを最初に聴いてしまったせいなのか、他の演奏は少々速すぎるのではないかといつも感じる。この録音はなかなか見かけないかもしれない。私が購入したのはハンマー・クラーヴィアと一緒に入ってるCDだったが、かれこれ何年前のことやら。あとは4大ソナタの入っているCDがケンプの持ち味を知るには良いかもしれないので、見かけたら購入してみるのもいいだろう。
アマゾンだとここらへん
4大ソナタ収録私が所蔵してるものと同じ。
フリードリッヒ・グルダ
オーストリア 1930〜2000

ベートーベン弾きで私が最も高く評価するピアニスト。技巧面でもおそらく最高峰の一人で、スピーディーな演奏が多いがその中でもその音楽の奥に踏み入った演奏ができる。たいていはスピードがあがるほどに音楽性においておろそかになるものなのだが、目も眩むような速度の演奏にも関らずけっして無表情な演奏にならない。豊かな内容を表現しようとするあまり速度の遅い演奏になるのが他の演奏家なら常なのだが、彼はそれ以上の内容をスピーディーな演奏の中にも込めることができる稀有の技術を持つ。

ベートーベンピアノソナタ全集
どうせ買うなら最高峰のものを買ってしまうべきだと思うので一押しの一品。少々高いのが難点ですが下手にいろいろ買うよりひとつしっかりしたのを買って気になった曲についていろいろな演奏家のものにあたる、というのが最終的には安上がりだと思います。奇をてらった演奏がないので変に偏ったイメージを曲にたいして持つこともないでしょう。自分の中での判断基準を築く上でも最適な全集ではないでしょうか。問題としてはその完成度が高すぎるゆえに他の曲を聴くときの合格ラインが異様に高くなることでしょうか。
私が持ってるのと同じやつ

作品紹介TOPに戻る