ベートーベン弾きを中心に

ピアニストへの個人的評価3


ピアニスト

主にベートーベン弾きを演奏面から評価したものを書き連ねます。今回はピアノ協奏曲第5番「皇帝」でいい演奏をしているピアニストを中心に。
HMVとかアマゾンのページにリンク勝手に貼り付けたりしてますが彼らの回し者じゃないので・・一応。労力の問題上なので許してください_n○|||


エマニュエル・アックス
ポーランド 1949〜 

バックハウスやリヒテルのようないかにも大物といった風貌でもなく人のよさそうな、悪く言えばいまいちぱっとしない顔つきなのだがそこからは想像できないようなすばらしい演奏をする。まだ私はピアノソナタ等の録音に触れていないし、ピアノ協奏曲のようなものとピアノソナタ等の単独での演奏とでは必要な才能が違うと思うので断定するのにいささか躊躇せざるを得ないが、存命のピアニストの中で最も優れたピアニストの一人であると思う。瑞々しい音色を奏でながら内容の大きな演奏を聴かせてくれる。今後ますます期待が高まるピアニストであろう。

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
指揮者アンドレ・プレビン、オーケストラはロイヤルフィル。当初全く期待せずに購入したCDだった。なんせ3枚組で内容はベートーベンのピアノ協奏曲第1番〜第5番、そして幻想合唱曲が入って2100円しないのである。ほとんど冗談で買ったに過ぎなかったのだが、直ちに認識を改めねばならなかった。バックハウス以来の名演である。これまで彼の演奏にふれてこなかった自分を少し恥じた。ネットでもぱっと見つからないのが残念だが、音も悪くないのでバックハウスの系統の皇帝が好きだが音がよくないと・・、という方にお勧め。
残念ながらネットで私が所持しているものは見つからず。いい録音なので是非とも定番にしてほしいのだが・・

マレイ・ペライア
アメリカ 1947〜 

表現力や美しい音色に定評のあるピアニストの一人。必ずしも完全無欠のテクニックを誇るというわけではないと思うのだが、音をこもらせたりすることがないようでいい音色を奏でる面での技術はなかなかのもの。どちらかというとベートーベンよりもモーツァルトやシューベルトに適しているピアニストだと言われる。指揮法なども修めたといわれるが彼自身の本分はピアニストであるという自覚がしっかりあるらしく、ピアニストとしての地平線を広げることが大事であるという認識で音楽活動を続けているようだ。

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
個人的にはこれもあまり期待していなかった。NHKで彼がピアノソナタ「月光」の演奏をしているのを見たときは情熱的ななかなかいい演奏をしているなぁ、といった印象はあったもののソナタに関してはどうしてもグルダの打ち立てた金字塔と比べてしまい霞んでしまう。またバックハウスがなしたような皇帝の演奏よりもフィッシャーのようなタイプの演奏を予想して聴いてみたのだった。ところが予想に反して非常に堂々とした第3楽章を聴かされた。必ずしもベストではないかもしれないが、自らの瑞々しい音色とこの皇帝という曲の持つ魅力を無理なく融合させた名演であろう。
写真は載っていませんがこれが同じもの
googleで「ペライア ハイティンク 皇帝」と検索するとTOPに私が聴いたのとちょうど同じCDのレビューがあがっています。より詳しくはそちらを参照したほうがいいかもしれません。こちらはCDのジャケットも見れます。

ルドルフ・ゼルキン
ボヘミア(チェコ) 1903〜1991

今から見ると少々古くさく感じるかもしれないが正統派のベートーベン弾き(なんてあるのかしらんが)の一人。格別ごひいきというわけでもないのだが、録音が極めて入手しやすい状況にあるので紹介しておきたい。なんせ100円ショップで手に入るほどだ。ダイソーの「クラシック ピアノ名演集2」に収録されている。とにかく安く皇帝という音楽を聴いてみたいという場合はこれで済ますのもいいだろう。第3楽章は残念ながら音が少しこもっているが録音年代とライブ録音であることを合わせて考えればやむを得ないレベル。むしろ100円で出せるような年代のものとしては明らかなノイズもなく十分鑑賞に堪える。演奏そのものもよい。
ベートーベンのみならずドイツ音楽の正統後継者だと表される。戦後にその音楽性を継承させたという点でも功績は評価されている。先に掲載した二人とは趣の異なった演奏だが時代に流されない音楽性を感じさせる録音である。

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