うんちく



一般にベートーベンというと、ジャジャジャジャーンで始まる(これでわかるのか?)交響曲第5番の運命のイメージが強く、またいわゆる第9が交響曲史上まれに見る傑作(というか、最高の作品だと個人的には思っている)があるため交響曲の方面で活躍した作曲家だという認識・イメージが強いのではないかと思います。ってか、大昔の自分がまさにそうだったので。

ベートーベンの真骨頂はピアノ曲にある、と個人的には確信している。ほぼ生涯にわたって彼が作曲しつづけたピアノソナタには彼の音楽のたどった形跡がそのまま残っている。その時点で彼が到達した境地が最初に現れるのがピアノソナタだった。なぜかあまり一般的ではないけれども、彼は当時指折りのピアニストでもあったのだ。ちょうど劇的な進化を遂げていたピアノという楽器と彼の生涯は切っても切り離せない関係にある。もっとも近しい楽器であるピアノで彼はまず音楽的な実験を試みたというようなことを聞くことがあり、実際にもそうだったのではないだろうか、と思わせる節がけっこうある。彼の生涯を大雑把にわけて話をすると、前期・中期・後期(晩年もここに含んでいいのかな?)でずいぶんと作品の質が変わっている。いわゆるベートーベンらしい曲というのは大半が中期に含まれているように感じるが、交響曲などに現れてくるものはそれよりも作品番号が若い(つまりたいていの場合はそれよりも早い時期の)ピアノ曲にまず現れる。そこで実験し、納得できたものを他の分野に持っていってみる、というような作業をしていたのではないだろうか。

ヴァイオリンソナタや、チェロソナタも一緒に演奏するピアノが非常に重要な役割を担っている。実際はヴァイオリンとピアノのためのソナタ、だったりもする。ほとんどのジャンルで輝かしい業績を残しているベートーベンだが、やはりピアノなしでベートーベンは語れない。ここで紹介してるピアノソナタなどを入り口にしてベートーベンの音楽に浸っていただける契機になれば幸いです。とはいってもお恥ずかしい限りの文章しか書けないので、せめてもの補足ということでお勧めの録音をそれぞれ極力あげるようにしてます。是非ともご参考にしてください。


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