4日目
  2003.12.29
 朝、クイーンズタウンで車の補給を済ませ、町を早々に出発しました。今日はセントクレア湖国立公園のクレイドルマウンテンを目指します。タスマニアでは最も有名な景勝地でしょう。ここを観ずには帰れません。もちろん世界遺産に指定されています。
 クイーンズタウンからは、主要道路A10号線を走る方法とB28号線で山間を抜ける方法とありますが、B28号線もよく整備された道で、幹線道路を走るより景色もよさそうだったので、こちらから北に向かうことにしました。
 地図から推測するとクレイドルマウンテンまで約100キロちょっとくらいです。相変わらず、道は本当に空いています。この分だと普通に走っても1時間半くらいで目的地に着く感じです。
 B28号線は林の中や湖の脇をとおる変化に富んだ道路で、やがてA10号線と合流しました。ちょっとした近道になっています。次にクレイドルマウンテンへは、C132を右折します。こちらは、Cランクの道路にしては広くて極めて美しい道路です。ましてや交通量「0」は、言い過ぎですが、本当に車がいないです。遠方には目的のマウンテンが見えてきました。ここからしばらく行くとクレイドルマウンテンへのアクセス道路との分岐点がありました。あまりにいい道なのでスピードを出し過ぎていると看板を見落とすので要注意です。この道路に入ればあとは1本道です。このあたりも天候不順で雨の多い地域と聞いていましたが、天気は益々よくなる一方で今日も気持のいい一日になりそうです。
 クレイドルマウンテンへのアクセス道をしばらく行くと最初のインフォメーション・センターがあります。この先にはビジターセンターもあり、ブッシュ・ウォーキングのコースなど必要な情報はここで仕入れました。トイレも忘れずに。そしてビジターセンターからは急に細い簡易舗装道になり、対向車に注意しながらさらに進んで行くとようやくドーブ湖(Dove Lake)湖畔のパーキングに到着です。車が通れるのもここまでです。
 このあたり、多数のウォーキングコースがありますが、最も人気のあるドーブ湖一周コース(Dove Lake Circuit)を歩いてみる事にしました。案内によると軽装でも歩ける2時間コースとあります。クレイドルマウンテンを眺めながら湖畔を一周するわけです。
 車を止めて、湖へ下りていくとすばらしいビューポイントにでました。湖面の向こうにクレイドルマウンテンがくっきり浮かび上がって見えます。湖も山もすごく静かな様相です。その名のとおり山の稜線が「揺りかご」に似ています。(ちょっと険しい揺りかごですが、、)
 湖畔一周コースはこのビューポイントがスタート点でコースはすぐに分りました。なにげなく左手に進みましたが、もちろん右回りでも行けます(ボート乗り場は右手)。ブッシュ・ウォーキングと言っても木製の遊歩道がしっかりと造られていて、とても歩きやすくなっています。これだと少々天候が悪くてもだいじょうぶでしょう。
 コースは湖面近くを通ったり、林の中を通ったり、ちょっとしたアップダウンもあり変化があって楽しませてくれます。この季節、も結構咲いていました。ドーブ湖も昨日のゴードン川同様、水の色は透明感のある赤茶色で、日の当っているところは、金色に輝いていました。神秘的な色です。
 歩き初めて50分くらいでちょうどスタート地点の対岸、つまり半分くらい来ました。クレイドルマウンテンのすぐ麓にあたります。ここから見上げると「揺りかご」のイメージはあまりありません。近くで見ると結構切り立った険しい山です。ちょっと距離をおいて眺めたイメージとまた違います。
 正確には、クレイドルマウンテン(1545m)は、右側のピーク群で、左側のピークは、リトルホーン(1355m)です。ウォーキングコースには、さらに山麓から頂上を目指すコースや山麓を周回するコースもあり、こちらは5時間以上かかるようです。もちろんそれなりの装備も必要でしょう。
 気温もぐんぐん上がり、すでに25度は越えている感じです。湿度は低いので不快感はまったくありませんが、それでも歩き続けていると結構汗をかきます。後半はベンチで休みながらスローペースで進みました。スタート点に近くに戻って来たところには湖のボート乗り場がありました。結局ちょうど2時間で一周し、元の地点に戻って来ました。このコースは、全経路、自然を守りつつ、かつ歩きやすいようによく整備されていました。距離と角度によって刻々と変わるクレイドルマウンテンの姿を堪能でき、さすが世界遺産、ここまで来て良かったて感じです。

 朝も早く、また体を動かしたこともありお腹がペコペコ、喉も乾いた事だし、この近くのクレイドルマウンテン・ロッジで昼食にしました。ここ以外では、最初のインフォメーションセンターでも食事が可能です。
 クレイドルマウンテン・ロッジは普通の山小屋を想像していたのですが、中に入ると、とても立派な施設です。たしかにロッジの造りではありますが、新しくて高級感があり、その中で素朴な雰囲気もある、なかなかステキな所です。
 レストランは、入り口と反対側に面したところにあり、日当たりの良いテラス席に腰掛けました。お昼ちょっと前だったのでまだ空いています。とりあえず何はさておき、冷えた生ビールを注文。 のどを潤しました。うめぇー。最高!。
 そしてパリッとしたピザに、ほくほくのフレンチフライをお腹に入れました。 <メニュー>


 お腹一杯になって、しばらくロッジのテラスで休憩&宵冷まし・・。静かで日当たりもよく、うとうと気分です。日本では年末かーと思いつつ、ここではそんな感じはまったくありません。実にのんびりしたものです。ランチ客も徐々に増えて来たところで席をゆずり出発する事にしました。今日は、宿泊地の「ロンセストン」まで向かいますが、まだ時間がたっぷりあるので、道中にある鍾乳洞(cave)に立ち寄る事にします。モールクリークという町の西側には多数の洞窟がありますが、有名なのは、「キングソロモン・ケーブ」と「マラクーパ・ケーブ」で、いずれも、観光施設として整備されています。今回はツチボタルが生息する「マラクーパ・ケーブ」(Marakoopa Cave)を目指しました。
 クレイドルマウンテンからだとちょっと複雑な経路となりました。C136とC138号線経由で、途中標識もなく、山間をぬって狭い畑の中の道を走っている時は道を間違ったかと不安にかられましたが、なんとかB12号線に出た時は、ほっとしました。そしてマラクーパケーブ案内標識を発見。無地到着です。
 駐車場に車を止め、案内にそって少し歩いたところに小さな小屋があって、そこがチケット売り場になっていました。30分おきに鍾乳洞ツアーがあるらしいのですが、客が誰もいなかったので、今出発したばかりかと思いましたが、チケット売り場の女性に尋ねると間もなく出発時刻との事。とにかくチケットを手に入れ、ちょっと待っていると、小屋からその女性が出て来て、「レッツゴー!」なんと、プライベートツアーになってしまいました。
 洞窟内の気温は、9度とかなりひんやりしています。入り口は小さいのですが、入るといきなり見事な鍾乳石のつららが形成されていて驚かされます。100年で1pの成長と言いますから、もう1万年以上経過したものでしょう。
 洞窟内は順路があってそれぞれ見どころなど丁寧に説明してくれました。思った以上に奥が深く、そして広大な洞窟です。その中でも圧巻なのは、Churchとよばれる一角で、その名のとおり教会を思わせる大空間がありました。他に客もいない事もあり、シーンと静まりかえっています。まさに静寂の空間です。案内の女性が「なにか歌ってみて、」と言われましたが、すぐに声が出る訳はありません。しばらく戸惑っていると、自ら聖歌らしい歌をしずかに披露してくれました。美しい反響とあいまって、なんとも言えない音色に聞き入ってしまいました。以前、ここでコンサートも行われたとの事です。
 コースの締めくくりは、Glow-worms(ツチボタル)が生息する洞窟です。
薄明かりの照明を消すと天井部に無数の青い光が見えました。この一角のみ写真撮影が禁止です。ツチボタルが放つ不思議な光。実に神秘的な光景でした。
 何人かにまぎれて案内されるのは気楽ですが、常に対面で英語の説明を受けながらのツアーとなり贅沢ではありますが、若干疲れました。(笑)

 マラクーパ・ケーブを後にロンセストンに向かいますが、シェフィールドの町を通って行く事にしました。
 シェフィールドは、壁画の町として有名です。こじんまりとした町ですが、あちこちの建造物の壁に絵が書かれていて、ちょっとした美術館のようです。題材は、過去の歴史や人々の暮らしぶり、風景などが描かれていました。もちろん、町の案内看板も絵の具で描かれたものです。


 シェフィールドからロンセストンへはB14号線の幹線を1本道です。1時間少々で到着しました。久しぶりに都会に戻った感じです。
 ここロンセストンを起点にこれからタスマニアの北東部を回ってみるつもりです。宿泊地としてはロンセストンが最後ですが、3泊します。そして今日1泊目は、町の中心部の東側、やや静かな所にある「Elphin Villas」です。モーターイン形式のこじんまりとしたホテルで、部屋は広くはありませんが、清潔で機能的にできていました。
 チェックインもスムーズにでき、一休みしたあと、夕食を兼ねて町をぶらついてみました。結構な都会ですが州都ホバートより落ち着きがあって、なんとなく気に入りました。
 町の中心部から少し山手側にレストラン(The METZ)を発見。まだ日は高いのですが時間は、もう夜7時前なので入ってみました。店内はカフェバーのような感じですが、食事もできるようです。メニューはイタリアンが中心で、サラダと白身魚を注文しました。価格は全般に庶民的。そしてもちろん地元のビールも。




<タスマニア北東部