昼間は賑わいを見せていたロイス川界隈も、夜になるとひっそりと静まり、昨晩は
心地よく眠れました。朝6時すぎに目をさますと、外は明るくなっていたので、朝食
まで、ロイス川沿いを散歩してみました。
今日は、このあたりで、朝市があるらし
く、車で野菜や果物など運びこみ屋台を組
んでいる姿をあちこちで見掛けました。
品物はどれも新鮮そうで、鮮やかな色を
しています。1時間もするとまた賑やかな
通りになるのでしょう。
朝食は、7時からでホテルの2階のレス
トランです。時間になって行ってみると、
すでに準備が整っていました。天気もいい
のでベランダ席に座り、贅沢にもカペル橋
を眺めながら朝食をいただく事ができまし
た。シーフホテルの朝食も立派なものです。
ここのところ、朝食が一番充実しているか
もしれません。今朝も、お腹いっぱいしっ
かりといただきました。
このルツェルンは1泊だけなので、チェ
ックアウトを済ませた後、また荷物だけを
送るため駅に向かいました。
今度はチューリッヒまでの発送です。
今日の予定は、ピラトゥス山とラインの
滝に出かけます。そして今晩泊まるチュー
リッヒが最後の宿泊地となります。
荷物を無事、係員に預け、これからルツ
ェルン湖(フィアヴァルトシュテッターゼ)
の船に乗ります。
ピラトゥス山頂へのアクセスは、鉄道、
船、登山列車、ロープウェイ、ゴンドラな
どの利用になりますが、ルツェルンを起点
とした観光コース、ゴールデン周遊ルート
を選びました。
まずは、船でアルプナハシュタットに向
かいます。ルツェルン湖の遊覧船は駅前広
場の船着場から出ており、2番乗り場から
出発する8時15分の始発便に乗船します。
8時に乗り場に着くと人が集まり始めて
いました。5分ほどして、ゲートが開き、
船に乗り込みましたが、乗客は少ないよう
です。見晴らしの良さそうな前方のデッキ
に座ると、まもなく汽笛が鳴って、船が動
きだしました。最初はバックで岸から離れ
やがて方向転換して、ルツェルンを後にし
ました。
湖面の風を受けて進む船の旅は、本当に
爽快です。やがて右側にピラトゥス山が見
えてきました。途中、3か所湖畔の町に立
ち寄った後、9時25分に終着、アルプナハシュタットに到着しました。
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■ピラトゥス山頂へ
アルプナハシュタットは、スイス鉄道の駅もあり、この駅前にピラトゥス登山列車の乗り場があります。
船の到着に合わせるかのように、9時30分発の登山列車が乗り場に着いていました。すでに乗っている客でほぼ満席状態、これに乗りきれなければ、次は40分後の10時10分発です。切符も買わなければならないので、やばいかなと思っていると、満席となり、すーと発車してしまいました。係員が残っている客を呼んでいるので、行ってみると、次の列車がやってきて乗せてくれました。結局、車両が何台もあって、連結ではなく、1台づつ次々発車させているのでした。
買った切符は、アルプナハシュタットから登山列車でピラトゥス山、そして帰りはピラトゥス山からロープウェイで、フレックミュンテックそしてゴンドラで、クリエンスの町へ下る周遊券です。料金は、通常58chfのところスイスパスの提示で30%引きの40.6chfでした。
列車に乗り込むと、この電車も満員になった時点で発車しました。ゴトゴト動きだすと、いきなり相当な急勾配、みるみる駅舎が小さくなっていきました。まもなくルツェルン湖も視界に入ってきます。
パンフレットによると48%の勾配をもつ世界一急勾配のケーブルカーと書かれていました。ただ正確には、ケーブルカーではなく、歯車を回転させて上って行く、れっきとした登山電車です。
上り始めは、狭い山道をぬっていきますが、15分もすると木の数も減りはじめ前が開けてきました。山も岩肌が目立ってきます。曲がりくねった軌道を進みトンネルを通過するとようやく山頂駅が見えてきました。出発から約30分で2000mに到着です。
実は、20年以上前、同じ8月に、一度ここに来た事があって、当時の事は、ほとんど覚えていないのですが、残雪があって相当寒かった記憶だけが残っていました。しかし、その後の温暖化の影響か、今年の猛暑が原因か分りませんが、今はまったく雪はありません。
ピラトゥスの山頂駅は、円形状の建物、ホテル・ベルビューの1階で、ロープウェイもここから発着しています。観光案内所やギフトショップなんかもありました。この山頂付近には、もう一軒、ピラトゥス・
クルムというホテルもあり
ますが、よくここまで建材
を運びホテルを建設したも
のだと感心します。
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■ピラトゥス山探索
ピラトゥス山には、魔力をもったドラゴ
ン(龍)や妖精が住むという言伝えがあり
ドラゴンをイメージしたイラストがよく使
われています。
山頂駅を降りると、
広い展望台になって
おり、たくさん人がいて賑わっていました。
ここからしばらく雄大な景色を眺めた後、
この他にもいくつかの展望探索コースが、
あるので案内にしたがって歩いてみました。
一番近いのがホテル・ベルビュー脇から
上がっていけるエーゼル峰(2118m)です。
(上の地図では右端)
登りが急なところもありますが、階段が
整備されているので、簡単に上がれました。
ただ、登り口あたりは狭くなっているので、
降りて来る人とのすれ違いがあると譲り合
って進む事になります。くねくね上がって
行くとすぐに頂上に着きました。頂上は、
ちょっとした展望台になっていて、ベンチ
なども置いてありました。見晴らしは、周
囲が開けているので抜群です。中央スイス
の山々、湖がよく見渡せました。ホテルか
ら頂上までは15分くらいのものです。
次にホテル・ピラトゥス・クルムの裏山
(オーバーハウプト)を探索するコースが
あります。こちらは、頂上(2106m)を目
指してもいいのですが、登り始めて途中、
左の岩肌へ続く道に曲ると山の反対側に行
きフレックミュンテック方向が見渡せます。
また、この先の道はトンネルの中をぬうよ
うに造られており、所々、展望用の穴が開
けられていて、ドラゴンの通り道をイメー
ジさせる遊び心のあるコースです。最終的
にはまた、上り口に戻って来る周回コース
になっており、こちらは、所要30分弱く
らいでした。
最後は、最も距離のあるトムリスホルン
峰(2132m)まで足を伸ばしました。
(上の地図で最も左)このコースは、メイ
ンの展望台から隣にあるホテル・ピラトゥ
ス・クルムの前を横切って先に続く山肌の
道を進みます。
こちらは登りというよりハイキングコー
スのようなものです。岩山を切り開いて造
った道なので、崖っぷちのようなところを
歩くのですが、柵や舗装がしっかりとして
いるので、歩き安く、危険はありません。
気持ちのいい道です。途中見晴らしのいい
ところには、所々ベンチが設けてあり休み
休み進みました。
道中は、山、谷、湖と変化にとんだ景色
が楽しめます。特に切り立った雄大な山肌
は、歩くにしたがって様々な姿を見せてく
れます。距離は少しありますが、ここまで
歩いて来る価値は十分あります。
歩きは始めて30分くらいでトムリスホ
ルン頂上の展望台が見えて来ました。最後
はちょっと登り道になっていますが、頑張
って最後の岩山を登りきると狭いスペース
ですが展望台に到着です。
まさに周囲360度、中央スイスが一望
できる絶好のポイント。到着した人達も皆
笑顔で満足そうです。
爽やかな風を受けながら、しばらくこの
限られたスペースで時間を共にしました。
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ゴールデン周遊ルートでの帰路のスタートは、ロープウェイです。乗り場は、ピラトゥス登山列車到着駅と反対側に乗り場はありました。15分おきに出発しているようです。ロープウェイは5分ほどでしたが、相当な急勾配、いっきにフレックミュンテックに下りていきます。 フレックミュンテックに着くと、次は、コンドラでルツェルンの隣町、クリエンスまで揺られていきます。 空中を散歩するかのように樹木の中や牧草の上をゆっくりと進み遊園地気分が味わえます。クリエンスまで30分の乗車ですので、結構、乗りごたえがありました。 途中駅のフレックミュンテックでは、スイス最長のすべり台(1350m)やクリエンサーエックでは、子供の遊び場などの施設もあるようです。
ゴンドラの到着駅は、クリエンスの町の少し奥まった高台になります。ルツェルンまでバスの利用ですが、案内標識が充実していたので、バス停まで迷う事はありませんでした。大通りに出ると、ちょうど1番バスがうまくやってきましたので待たずに乗れました。1番のバスは買い物や通学など市民の生活路線で、たくさん走っているようです。
乗車15分くらいで、ルツェルンの駅に到着。これから、ルツェルンを後にし、予定していたラインの滝に向かいます。
■ラインの滝(Rheinfall)へ
スイスの最も北東に位置するボーデン湖から流れ出たライン川の豊富な水によってつくられる壮大な滝がラインの滝です。
ラインの滝へはスイス鉄道でチューリッヒを経由して行きますが、そこからは幾つかの方法があります。
最もオーソドックスな方法は、チューリッヒからクローテン国際空港を通過してまっすぐ北へ伸びる路線でシャフハウゼン(Schaffhausen)まで行き、そこからラインの滝行きのバスを利用する方法です。
時間的にも一番早い行き方
ですが、単純にこの路線を
往復するのも芸がないので
行きは、チューリッヒから
出ている庶民的な都市近郊
路線Sバーンで、ヴィンタ
ートゥール(Winterthur)
経由でノイハウゼン(Neu
hausen)まで行き、そこか
らライン川沿いの遊歩道で滝を目指す東寄りの経路を計画しました。帰りは、オーソドックスにシャフハウゼンからチューリッヒにまっすぐ戻ります。
ヴィンタートゥールからのSバーン路線はのどかな田園風景の中を走ります。普通車両には学生や地元の人達が多く会話がはずんでいました。飾ったところがなく素朴なローカル線で旅をするのもいいものです。各駅停車ですが、30分ほどでノイハウゼンに到着しました。
実は、Sバーンでくると、一つ手前の駅で下りるとラインの滝に最も近いのですが、ライン川沿いを歩いてみたかったので、ノイハウゼンまで行ってみました。駅から川側の出口に出るとすぐに遊歩道の案内板がありました。まず橋を渡って、右(南)に曲がり、川沿いの遊歩道を進むと滝に着くようです。
ライン川沿いの道は、やがて鬱蒼とした林道に入り、ライン川に寄ったり離れたりしながら下流に向かって続いています。
よく整備された道で、本当に気持ちのいい道でした。
30ほど歩いたでしょうか、低い轟音が
聞こえはじめると、ライン
の滝の標識がありました。
到着です。標識に従って道
なりに行くとゲートがあり
入場料金1chfを支払って、
滝の近くまで下りていきま
した。
すごい迫力です。高低差
のある滝もいいですが、幅
150mで壮大な水量を落
とす滝の豪快さはまた格別です。特に今年は猛暑で、氷河の雪解け量が多いせいか、水の勢いは強烈!。ヨーロッパ一の規模だそうです。見学道をさらに下りていくと、なんと滝の真横に出ました。水しぶき、轟音、地響きがすごい!ここまで近づけるとは思っていませんでした。感激です。
ラインの滝は、こちら側のほかに、川の対岸(東側)からも見学する事ができます。対岸からは、滝のちょうど正面に位置し、シャフハウゼンから来ると対岸の方に着くので、向こうがメインの展望施設になっているようです。
また、こちらの人はすごい事を考えました。この急流荒波の中を小さい遊覧船を走らせています。両岸を渡すだけでなく、滝の中央にあるちょっとした岩山に人を送迎する様は圧巻。見ていてもよく流されなず船が岸に着くものだと感心します。岩山にほんの小さい展望台が設置されていて、ここから滝を眺めようという訳です。
行ってみようかとも思いましたが、滝は直近真横から見れた事だし、今回は、シャフハウゼンに戻るため対岸に渡るだけにしました。料金は、対岸だけだと2.5chf、岩山を往復すると6.5chfです。
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■チューリッヒへ
急流の中、ライン川の対岸に渡り、シャ
フハウゼン駅からチューリッヒに戻ります。
ライン川のこちら東側は、ちょっとした
公園になっており大きな駐車場も完備され
ていました。シャフハウゼン行きのバスの
乗り場は、駐車場P6に隣接する通りから
出ています。バス停までは、登り道でちょ
っと距離がありました。20分くらい歩い
たような気がします。通りに出るとバスは、
運良くすぐに来て待たずに乗れました。
駅に着くと午後6時前で、チューリッヒ
へは、6時9分発のCIS特急がありまし
た。イタリアからの国際列車です。電車は、
若干遅れてホームに入ってきました。乗り
込むと座席は結構混んでおり、開いていて
も黄色の札がかかっている予約席です。
喫煙車になってようやく空いている座席に
座れました。空気はさすが悪かったですが
しかたありません。40分弱の辛抱です。
うつらうつら、なりかけた頃、チューリ
ッヒ中央駅に到着。朝、ルツェルンで預け
た荷物が着いているはずです。駅舎の荷物
保管所で
引換証を渡しスーツケースを受取
りました。
スイス到着時に立ち寄ったチューリッヒ
ですが、久しぶりのような気がします。
今日の
ソフィテルホテルは、バーンホフ橋
を渡って少し北にいったところです。通り
に面しているのですぐに分りました。この
ホテルはアメリカ系の近代的なホテルで、
部屋は、きれいで、冷房もあり機能的です。
場所的にも駅から近く、前を路面電車が走
っているので市内の中心部へ行くにもたい
へん便利でした。
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今晩で、スイス最後の夕食となります。市内中心部、聖ペーター教会の近くにあるビアホールのクロプフ(Kropf)に行ってみました。
中に入ると、おや!ほとんどお客さんがいません。まだ早いのかなーと思ってうろうろしていると、正面横の小道から上がる、2階のテラス席で皆食事しているようです。やっぱり夏のビアホールはオープンのほうがいいのでしょう。わりと混雑していましたが、道路ぎわのテーブルに案内してもらい、さっそくお目当てのビールを注文しました。
皆、結構楽しそうに飲んでいます。おまかせで出されたビールは、さっぱりとしていて喉越しがよく、クリーミーな泡立ち、ほんとうに美味しく感じました。特にのどが乾いていたので、冷たいビールは最高です。
ビールのあてには、ソーセージとポテトをたのんでみました。自家製ソーセージなので、プリプリしていてとてもジューシーでした。ボリュームもあって美味しかったです。そしてこのあと、ビールを数杯おかわりしてしまいました。
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